先月SIRによるCascade 1200のメダルが届いたのに続き、RM1200+のメダルがRUSAから届いた。やっとこさであるが、受け取るものは受け取ったのでこれにて終了です。
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2018 Cascade 1200
2018 Cascade 1200の記録。次回に向けた備忘録も兼ねて一通り書いておいた。他の海外ブルベに参加するときの参考にもなるかもしれない。ならないかもしれない。
Cascade 1200は二年ごとに開催されているようなので、またいつか参加したい。
2018 Cascade 1200 : Prologue – highriseの日記
2018 Cascade 1200 : シアトルへ – highriseの日記
2018 Cascade 1200 : 受付・車検・ライダーミーティング – highriseの日記
2018 Cascade 1200 Day 1 : Welcome to Seattle! – highriseの日記
2018 Cascade 1200 Day 2 : Terrible thunderstorm! – highriseの日記
2018 Cascade 1200 Day 3 : Windy! Windy! Windy! – highriseの日記
2018 Cascade 1200 Day 4 : What a fantastic view! – highriseの日記
2018 Cascade 1200 : Farewell – highriseの日記
2018 Cascade 1200 : シェアバイクでシアトル観光 – highriseの日記
2018 Cascade 1200 : Epilogue – highriseの日記
長すぎて読めない。
2018 Cascade 1200 : Epilogue
もう一ヶ月も経ってしまった。すでに思い出の一ページになりつつある。
Cascade 1200
いいブルベだった。景色は雄大、参加している人はフレンドリー、そして主催側のホスピタリティがすばらしかった。参加者が60人に対して、スタッフが54人だったそうだ。海外だからといって特に困るということはなく、日本のブルベを走っているのと変わらなかった。これはスタッフのみなさんのサポートに助けられている部分が大きい。感謝しかない。
Volunteers! Thank you! – 2018 Cascade 1200
「Cascadeは大変だよ〜」、「Cascadeはキツいぜ〜」 といった話を各方面から事前に聞いたり読んだりしていたが*1、今回は天気に恵まれたということもあり、そんなに難易度の高いブルベだとは思わなかった。仮眠をちゃんと取って600kmを完走できる人なら問題なくクリアできると思う。もちろんそれなりに登るので登りが全然ダメだと厳しいかもしれないけど。
また、今回のスタート地点はSeattle市内だったので、アクセスしやすいのもよかった。大都市からさらに国内線や他の公共交通機関を乗り継いで……みたいな場所がスタート地点だと、辿り着くまでに疲れてしまう。そういった点でも恵まれていた。
予算という現実的な話
ざっくり35万円ぐらいだろうか。
ANAの直行便で往復した。150000円弱。トランジットありの別会社も考慮に入れればもう少し削減できるかもしれない。ただ、姫井さんがAir Canadaのトランジットで自転車がロストバゲージになるという悲劇があったので、少し高くなっても直行便でリスク軽減というのはアリだと思った。
Cascade 1200が開催される6月後半はハイシーズンなので、宿泊費がとんでもなく高い。市内のスタート地点に近いホテルだと1泊25000円~30000円ぐらいからになってしまう。ホステルなんかを駆使する手もあるが、これは人によりけりだろう。中心部から少し離れたところに宿を取ると少し安くなるけど、やっぱり移動が面倒。イベント前の二泊は一泊30000円のホテルに泊まっているけど、事前に無駄な労力を使わないことを優先すると仕方ないかも。イベント後の二泊はダウンタウンのホステルでもいいかなと思っていたのだが、疲れているだろうしなぁと思い、個室を確保できて宿代が安いところというのを探した結果、空港近くになった。二泊で20000円強ぐらい。市内までLink Light Railで30分強ぐらいなので許容範囲だった。
大きな出費は、航空券、宿泊費の上記の二つ。Cascade 1200はエントリーフィーの475ドルにオーバーナイトコントロールでの宿泊費(エアマットレスや寝袋も用意してくれる)、食事代、ドロップバッグの費用などが含まれているので、ブルベ中に出費があるのは商業施設を使ったコントロールぐらい。特に2日目以降はそもそもお金を使えるような店自体がルート上にほとんどなかった。そう考えると、エントリーフィーが475ドルというのは安いと思う。
その他もろもろ
スマホ用のSIMはブルベ中は圏外ばかりでほとんど使えなかった。スマホを使ったのはイベント前後のSeattle市内の観光のときぐらい。Seattle市内は野良Wi-Fiもあるのでインターネットの接続には困らない。SIMは14日間、1GBの容量のものを購入していったが、結局使ったのは600MBぐらい。
あと何よりウェットティッシュが大活躍した。特にブルベ中に立ち寄った場所のトイレは惨憺たる有様なので、ウェットティッシュがなかったらQOLは大幅に低下していたことだと思う。海外に行くたびに思うが日本のトイレのきれいさは異常。
食べるものに関しては元々どこで何を食べてもお腹を壊したりしないタチなのであまり不自由しなかった。これは人それぞれかも。
現金を使う機会はほとんどなかった。クレジットカードを使うときでも、チップ込みで決済できてしまう。
最後に
もう一度Cascade 1200に参加したいかと言われれば迷うことなく「Yes」だ。それぐらい満足した。楽しかった。主催者、スタッフ、Seattle International Randonneursのみなさん、一緒に走ってくれた参加者のみなさんに感謝。
さぁ次はどこに行こう。
*1:他には稲垣さんのレポートとかも。 CAN-AM Report
2018 Cascade 1200 : シェアバイクでシアトル観光
28日は観光のために一日フリーにしておいた日。28日の飛行機に乗っても金曜日の出社は不可能だし、それなら目一杯満喫してから帰ろうというプラン。帰りのフライトは29日の13時。
28日・Seattle観光の一日
ということで、28日は丸一日遊ぶ。
ホテルの朝食はまぁお値段なりのもので……
Seattle市内へ
Seatac/Airport StationからLink Light Railに乗ってSeattle市内方面へ。
Stadium Stationで降りる。ここからは近くに乗り捨てられているシェアバイクを探して、それで移動しようという計画。
とりあえずSAFECO FIELDへ行く。ミーハーだしな。平日の朝なので閑散としている。マリナーズは遠征に出ている。
ofo
球場の近くにあったofoというシェアバイクを使うことにした。アプリをDLしてQRコードをスマホで読み取るとロックが解除される。GPSで移動距離を追尾して、乗った距離と時間を元に使用料金が決まるらしい。
Amtrakの駅。昨日のバスでもここを通ったような気がする。
Chinatownへ
Chinatownへやってきた。なぜかというと、アジア的な、そして願わくば和食的なものが食べたいのだ。Washington Passを日本人三人で登りながら、「そばを食べたい!つゆを一気飲みしたい!」とか言ってたしな。塩分チャージタブレッツの塩分では満足できない身体になっていたのだよ。
店の前に適当に停めておく。ドックのようなものがないので使う側としてはとても便利。
サンドウィッチとか食べ飽きたので、こういうのが恋しくなってたわけ。うめぇうめぇ。
Smith Tower
SeattleではSmith Towerというのが有名らしい。
しかし、どうもこれはSmith Towerではないらしい。
これがSmith Towerらしい。
こういうスタイルです。
Pioneer Square
Seattleは坂が多い。そして結構な斜度がある。小径車では登れないので押して歩く。
Starbucks Reserve Roastery
焙煎工場併設でテイスティングができる形態らしい。
どこにピント合わせとんねん。というか、店の中でパシャパシャ写真ばっかり撮ってて完全にお登りさんである。
Waterfrontへ
Gum Wall
汚い上に臭い。なぜこれが観光スポットなのだ。
スタバ1号店でお土産を買おうと思ったが、混んでるからまた後で。
平日なのに人が多い
こういうところで一日ダラダラしたい。
Kerry Parkへ
2018 Cascade 1200 – June 23 – 26, 2018
Cascade 1200のサイトのトップページに使われている画像はKerry Parkからの眺めのようなので、見にいってみることにした。高台にあるのだろうなという見当はつくが……
伝わるだろうか。登れるかボケ!またまた押して歩く羽目に。Cascade 1200を含めた中でも一番凶悪な登りだった。
眺めはいい。近くにいたおじさんに自分の写真を撮ってもらったが、完全に顔が死んでいるのでここには載せない。
Pike Place Marketへ
Kerry Parkからは下るのも結構大変。ブレーキがギャン鳴き。
Space Needleも見納め。また来るよ。
ofoを使うのもここまで。お世話になりました。
お土産調達
スタバ1号店で両親へお土産を調達。ベタすぎるが。
武田久美子だ。ヒュ〜。
Rocky Mountain Chocolate Factoryというお店で会社の同じグループの方々にもお土産を購入。こういうときチョコレートは鉄板である。
夕飯
お土産を調達したので、夕飯を食って帰ろう。
19時ぐらいだが、どのお店ももう閉店準備をしている様子。20時までオープンのアジアンキッチンに駆け込んで米を食う。もうアメリカンなものは十分だ。缶の飲み物は梅コブ茶とか書いてあったように記憶しているが、びっくりするぐらいすっぱくて死ぬかと思った。全部飲むのに一苦労。米国人はこれがヘルシーだと思っているのか。何か勘違いしていないか。
ホテルへ
初日にSeattleにやってきたとき、Pioneer Square Stationで電車を降りて、この出口から地上に出てきたのだ。この出口に始まり、この出口に終わる。
あー、楽しかった。
Rodeway Inn Seatac
Seatac/Airport Stationから歩いて5分ぐらい。空港まで近いので便利。
29日・米国最終日
自動パンケーキ作成マシーン。ボタンを押すと右側から焼き上がったパンケーキが出てくる。さすが合理主義の国だ。
お世話になりました。
空港へ
たけさんも同じ便だった。この日の空港は出国する人で激込みの一日だった。珍しいことらしい。
Good Bye Seattle!
さようなら。また来ます。
30日・帰国
成田着は日付が変わった30日。
飛行機から福島方面を見ると、もんのすごい雲が発達していて思わず笑った。この日はR宮城の奥只見600の日だ。やはりこう日に限って天気が荒れるものである。
飛行機からボーディングブリッジに出た途端ムッとする湿気がまとわりついてきて、あぁ日本に帰ってきたなぁと思った。
たけさんは京成線で帰るそうなので空港でお別れ。成田エクスプレスで武蔵小杉まで。そして東急で元住吉まで。
自転車を抱えて汗だくになりながら最寄り駅に戻ってきた。
本当に楽しい旅だった。いい思い出になった。
2018 Cascade 1200 : Farewell
何時だか覚えていないが、目が覚めた。もう走らなくてもいいと思うとちょっと寂しい。すでに帰途についている人もいるし、帰る準備を始めている人もいる。
朝食を食べて周囲をうろうろした後、片付けを始める。自転車をそのままの状態でトレーラーに載せてもよさそうだが、もう飛行機輪行の状態にしてしまう。
いかにもアメリカって感じのトレーラー。バスでSeattle市内、空港へ行く方々の荷物はこのトレーラーで運んでくれる。すごい。
手前にいるのがカナダの鉄人Ken Bonner。自転車から下りると手が震えて自分の足元の荷物も持ち上げられないぐらいの老人……なのだが、今回で8回目のCascade完走のようだ。1日目は同じようなところを走っていたのだが、自分が2日目の夜中にQuincyに着いた頃にはすでにQuincyを出発していてさすがだなと驚いたものだ。最終的なゴールは自分の15分ぐらい前。どこかで大休憩でもしていたのだろうか。
1日目に一緒に走ったHectorさんやThomasさんもSnohomishまで来ていた。またどこかで会いたいですね。Seattle市内を経て空港まで行くバスに乗る人達は帰宅の準備が終わってまったり。
Snohomishを出発。Susanさんとはここでお別れ。Thank you, great organizer!
Seattleに戻ってきた。市内にホテルを取ってあった方々はSpace Needleのところで下車。おつかれさまでした!
1日目に走ってるときは天気が悪くて見えなかったMount Rainierも見える。
自分は空港近くにホテルを取ってあったのでここでみなさんと解散。
さようなら!また世界のどこかの路上で会いましょう!
ホテルは空港のすぐ近くなので歩いて移動。歩いて10分もかからないぐらい。何か食べたいんだけど、空港の周辺にはあまり店がないようだったのでもう一度空港へ。
猛烈にカップ麺を食べたい気分になり、ロビーで一心不乱に食う。
ホテルに戻ってそのまま就寝。翌28日は丸一日空けているので、Seattle市内を観光するつもり。
2018 Cascade 1200 Day 4 : What a fantastic view!
快適なベッドで目が覚めたのは6時前。やってしまった。また寝坊である。Mazamaのオーバーナイトコントロールのクローズは5:30。またクローズ時間を過ぎてからの起床である。ワーと慌てて食事をしに一階へ下りたら、まだ吉岡さんが食事中であった。
4日目のルートは以下の通り。
朝からWashington Passまで30km登るのだが、全体を通して大きな登りはこれが最後。70kmぐらい下った後はゴールのSnohomishに向かって平坦基調の道を走るだけ。ゴールクローズは23:52で距離は250kmぐらい。途中のDarringtonにコントロールがあるが時間制限はない。そんなに慌てることもない。
しかしまぁ結局三日とも寝坊してしまった。600kmブルベでホテルの個室を使う場合は気兼ねなくスマホのアラームを鳴らせるので寝坊したことはないのだが、こういった大広間や共同使用の部屋で寝る場合、どうやってみなさん起きているのだろう。今後の課題だ。ただ、睡眠時間は十分に取っているので大変元気である。ちなみに、ゴール後にひめいさんに聞いたところによると、毎日寝坊して大慌てで準備していたので、スタッフの方々に寝坊の人と覚えられたみたいだ。恥ずかしい。
吉岡さんに同席させてもらって朝食を食べていると、たけさんが準備を終えてやってきた。みなさんゆっくりだ。部屋に戻って出発の準備をして、スタートしたのが7時頃。250kmを17時間で行けばよいのだから、相当なメカトラでもない限り完走は問題ないだろう。吉岡さんとたけさんはすでに出発してしまったようだ。
晴れのWashington Pass
Washington Passのサミットまでは30km弱あるので、あまり頑張り過ぎないように登っていく。景色が雄大で「ホエー」、「ワーオ」とか、知能が低下した言葉が口から出てくる。というか、それしかない。
あまり斜度がきつい峠ではないので景色を楽しむ余裕がある。
峠の後半に差し掛かったぐらいだろうか。前に吉岡さんとたけさんが見えてきた。喋りながらゆっくりペースで登っているようなので、そこに合流して三人でサミットを目指す。Seattleをスタートしてからバラバラに走ってきたけど、ここで日本勢が合流して戯れながら登る。また、2012年のWashington Passは天気が悪くて氷点下になるほどだったと聞いていたので恐れ戦いていたが、今年は天気がいいし気温も一桁台とはいえ普通の冬用装備があれば十分対処できるレベル。景色は雄大だし、文句のつけようがない。た・の・し・い!
What a fantastic view!!!!!
メインディッシュいただきました。大満足!
朝からゴージャスだった! #Cascade1200 pic.twitter.com/ve9hXBySN6
— たけ (@take0204) June 26, 2018
撮っていただきました。
Washington Passのサミットで温かいコーヒーのサポート。ありがたい。本当にホスピタリティがすばらしいブルベだ。
少し下って登り返すとRainy Passに到着。某さとうさんがRainy Passの写真を上げておられたが、今年とは全然状況が違って申し訳ない。我々には晴れのMount Rainierと雨のWashington Passの人生経験が足りない。
Rainy Passからはずっと下り。途中、いくつか登り返しはあるが、すぐに終わるのでヒルクライムというのはもう終わりだ。延々と下っていくのだが、各自ペースが違うので、キューシートに記載されている麓のNewhalemというところのSkagit General Storeで何か食べましょうぐらいのことを言ってバラバラに。
下りの途中でアクションカムに給電してたバッテリーが切れたので、4日目の動画も終了。スマホ用のバッテリーがあるのでゴール直前だけ撮ることにする。
ぴかさん「月夜見山の駐車場だ」
わたし「たしかに」
随分下ってきたはずなのにまだまだ雄大な景色が広がる。
たけさんと一緒にNewhalemのストアに到着。ホットドッグが死ぬほどうまい。帰国したらホットドッグをいつでも食べることができるように食材を冷蔵庫に常備するんだ……と思うぐらいうまかった。ライダートラッキングを見ながら吉岡さん遅いですねぇと言っていたところに、ようやく吉岡さんが到着。アクシデントがあったらしく、リアタイヤがバースト寸前になっていた。
Newhalemからゴールまではほぼ平坦みたいなもの。各自のペースで!ということにしてゴールを目指す。吉岡さんが眠くて離脱していき、自分も冬用装備を脱いだりしてたので概ね一人旅。もう完走も大丈夫だというところに来ているので、あー楽しかったなー、終わってほしくないなーという気持ちになる。
止まって写真撮ってたら後ろから吉岡さんが凄い勢いで飛んでいった。「強度を上げれば眠くない走法」らしい。びっくりするぐらい元気になってて笑った。
最後のコントロールはDarrigntonのお店。もうゴールまで持ちそうなので、菓子パン一個だけ食べてスタバのエナジードリンクをグイッと一飲みして出発。
印象に残っているのがArlingtonの町に入る前に信号で停止したこと。本日初の信号で4日目に信号に引っ掛かったのはこの一回だけ。250kmで信号が一回だけというのも関東近辺ではありえない話だ。
Snohomishへ
最後の40kmぐらいはサイクリングロードのようなところを通ることになっていて快適だった。22時前ぐらいまで明るいので街灯がなくても大丈夫。
いよいよSnohomishのゴールである。スマホ用のバッテリーでアクションカムに給電。ゴールシーンぐらい動画に残しておきたい。
あぁ、終わってしまう……
Snohomish Soccer Domeの角を曲がる。
「Yeeeeaaaaahhh!!! Omedeto—–!!!」
トラッキングのおかげで次に誰が帰ってくるかわかるので、日本語で声援をいただいた。やっと終わった。いろいろあったけど楽しいブルベだった。終わってしまった……。少し切ない。
ゴール受付へ移動。
この受付の雰囲気、癒しふれあい館みたいなもんですな。受付をしていると「なんだそのジャージ、写真撮らせてくれよ」っていう事案もあったけど、たまちゃん柄を説明して通じるものなのだろうか。ゴール後はピザとビールで乾杯。室内サッカー場に移動して先にゴールしたたけさんや姫井さんとあーだこーだ喋っていると、吉岡さんも到着。タイヤはバーストせずに最後までもったようだ。よかった。
一番最後に帰ってきたのはEvanさんと(3日目に千切られた)Micheleさん。Micheleさん、走ると強いのにコントロールでの休憩が長いから一番最後のフィニッシャーである。
2018 Cascade 1200 Day 3 : Windy! Windy! Windy!
目が覚めてスマホで時計を見ると8:20。やってしまった。また寝坊である。二日連続だ。6:30ぐらいに起きるつもりだったのに。そもそもQuincyのオーバナイトコントロールのクローズ時間は8:04なので、クローズ時間を過ぎている。超焦った。前日に引き続き、慌てて寝袋を片付け、慌てて朝食を食べる。Thomasさんや平野さんがおられたが、二人ともすでにDNFされているのでのんびり談笑している。その横で慌てて準備をする。
準備が整ったのは9:00。借金1時間で3日目がスタートである。左に写っているのはEvanさん。片方のアームカバーを忘れている。疲れてたらしい。
3日目のコースは以下の通り。
Quincyを出て、農場エリアを東の方へ行く。次に見えてくるのはEphrataという町。この町を抜けると長い長い無補給区間になる。途中Farmerというところで有人コントロールが設定されているが、商業施設は約100km先のBridgeportまでない。Bridgeportまで辿り着くとOkanogan River沿いに走ってMallotのコントロールへ。そして30km近く登ってLoup Loup Passを越えるとTwispの町に出て、緩やかな登り基調の道を行くとMazamaのオーバーナイトコントロール。約250km。
Quincyには他にもまだスタートしていない参加者の方がいたが、あんまりグズグズしていても仕方がないので一人でスタート。600kmを超えて制限時間は緩くなっているし、距離も250kmぐらいだし、大きな登りはLoup Loup Passだけなので、そんなに大変な一日にはならないだろうと甘く見ていた。が、思ったほどペースが上がらず、200kmの通過に13時間20分ぐらいかかるという、普段のブルベならギリギリ隊のペースであった。
スタートしてしばらくは農場の中を行く。スプリンクラーがグルグル回っていて、飛んでくる水が気持ちよい。
アクションカムのバッテリー切れ
そしてここで痛恨のミスが判明。アクションカム用のバッテリーが死んでた。今回は一日につき一本の外部給電のバッテリーを用意してドロップバッグに入れてあったのだが、1日目、2日目用のものは新しく購入したものなので特に問題なし。ただ、3日目と4日目のは以前から使っていたもので、九州のヘブンウィークで水没したときにダメになっていたらしい。なので、3日目と4日目の動画は途切れ途切れになってしまった。残念。切り出す動画がないので、ここから一気に写真が減ります。
Ephrataの町を通過して、100kmほどのアップダウンアップダウンアップダン……の区間に入る。
余談だが、帰国してから英会話教室でワシントン州出身の講師の方と、
「Seattleに行ってきました。1200km走ったんですけど、カスケード山脈の東側の荒野の地域も走ってきました」
「自分はまさにその地域の出身だ」
「Quincyっていう町に泊まって……」
「オー、私はMoses Lakeという町がホームタウンなのだがその近くの町だ。Quincyは農場しかない町でboringだけどな。でも、土地代が安いのでMicrosoftとかのデータセンターがあるぞ」
「ほんで、Ephrataっていう町を通過して……」
「オー、Moses Lakeにいた頃、しょっちゅう飲みに行ってた町だ。っていうか、何年も英会話の講師をやっていて、何千人という生徒を見てきたが、Ephrataに行ったという日本人は初めて見た」
「そりゃ自分だってブルベじゃなかったらこんな町行かねーわ」
というやりとりがあった。
そしてQuincyに着く前に酷いサンダーストームに遭ったという話をしたら、Washington州は落雷によるwildfireが多い地域なんだと言っていた。なるほど~。
ちなみにMoses Lakeは通過していないのでどれぐらいの町なのかわからないが、昔はJAL、今はMRJ関連で日本人が結構いるそうな。
トイレがない問題
Ephrataを後にするとまた昨日と同じようなダイナミックな景色になる。暑さと疲労で知能が低下していたので、景色に圧倒されて「ワーオ」って言うだけの人間だった。「おーすげえ」じゃなくて、なぜか「ワーオ」って言ってた。だいぶ知能が低下している。
で、Ephrataを通過するとBridgeportまでの約100kmの間、トイレがないのが問題である。途中のFarmerというところにコミュニティホールを使ったコントロールはあるが、コミュニティホールにはトイレがないとキューシートに書いてある。単独で走っていて前後に誰もいないと、「地平線の先まで見渡す限り人間は自分しかいない」というような場所なので、大きい方を催してしまったときにどうするのか覚悟を決める必要がある。ちょっとでもいいから道路からの視界を遮る茂みがないかなぁと探しながら走る。いざとなったらやらねばなるまい。
そして「こんな雄大な景色の中で数字なんて気にして走るもんじゃない。もっと自然を感じて走ろう!」と思って心拍計を外した(ただ乳バンドが鬱陶しくなってきただけである)。また、GARMIN eTrexとは別に速度、心拍とケイデンスを表示させてたサイコンの電源が切れてしまったのだが、これもまた数字なんて気にして走るもんじゃないと思って電源は切れたままにしておいた(電池を交換するのが面倒臭いだけである)。とりあえずルートさえわかればなんとかなるやろ精神だ。
速度も心拍もケイデンスも、そんなものはどうでもいいんだ(アメリカの大自然の中で悟りを開いた)。
少し登ってしまえばずっと下りでFarmerのコミュニティホールに着くものだと思っていたが、アップ、ダウン、ダウン、アップ、ダウン、ダウンで下っていくので、全然ありがたみがない。そして絶賛向かい風である。
こういうとこで向かい風やめろwww #Cascade1200 pic.twitter.com/bgYUvavtqw
— たけ (@take0204) 2018年6月25日
めっちゃわかる。
FarmerのコントロールのスタッフはSusanさんとTomocoさん(スタッフとして参加)だった。Tomocoさんにブルベカードにサインしていただいたので、Cascade 1200のコントロールのサインに日本語が!貴重!
しばらく休憩。そこらへんにあるものをバクバク食う。カップヌードルの塩分が染み渡る。
と「今日も寝坊したらしいですね。スタッフの間で寝坊の人だと話題になってましたよ」
おおう、恥ずかしい。
コミュニティホールの周りにはマジでなんもない。ここに来るまで向かい風、ここからは横風……ウゥ……
RAAMに出るような人についていけるわけがない
そしてコントロールで一緒になったMicheleさんとChrisさんが一緒に行こうと声をかけてくださったので、一緒にスタートするわけだが……
あっという間に千切れてしまい、一人旅に戻った。しばらく一緒に走っていた間に話を聞いた限りでは、MicheleさんはどうもRAAMにソロ部門で出たことがあるらしい。そら強いわ。そしてMicheleさん曰く「ChrisはStrong man」(Crazy manだったかもしれない)とか言う。横風に耐えながら二人になんとかついていこうとするものの、どんどん小さくなっていくので、束の間のDay 3 Partnersだった。
一人で横風に辟易しながらアップダウンをこなしていく。途中8kmぐらい東へ向かって走る区間があるのだが、そこだけが追い風で天国だった。が、眠くて眠くて。ボーッとしていたので左折することをちょっと行き過ぎた。そしてまた北上なので、基本的に常に横から風を受けている状況。しんどい。眠い。うんこしたい。QOLが下がってきている。
Bridgeportの手前のChief Joseph Damが見えてきて、展望台はこちら!みたいな看板が目に入ったのでそちらへピットイン。たぶんトイレあるだろ!と思ったらその通りだった。助かった。
水洗化されていないし、もちろんトイレットペーパーもないが、一応トイレである。ウェットティッシュを持っているので問題ない。
Bridgeportの町にFoodがあるよーとキューシートに書いてあったので、たまたま通り掛かったEvanさんに「どうする?寄ってく?」と声をかけられたが、Farmerで十分食べたので自分は先に行きます。
ずっと風が強いのでスプリンクラーみたいなやつの水も横へ横へと飛んでいく。
Mallotまでは川沿いを行くのだから平坦だろうと思っていたが、それなりにアップダウンがあるし、そして眠さも出てきたので、Mallot到着時はヘロヘロ。自分の到着と入れ替わりでSan Francisco Randonneurs御一行が出ていくところだった。コントロールには自分だけになったので、スタッフの方が「サンドウィッチを作ってやろう!何を挟む?」と言ってくれたので、チーズやらハムやらを頼む。一時間近く休憩していたのではなかろうか。あんまりダラダラしているものだから、
「みんなさっさと出発していったけど、そんなに休んでていいのかい」
と言われた。「アッ、ハイ……」と準備をして出発。19:00ちょうどぐらい。Loup Loup Passのサミットまで30km弱あるので到着は22:00ぐらいになるなぁ。
世界が変わる
せっせと登る。何もないのでただひたすら登る。だんだん気温が下がって寒くなってくる。冬用の装備にチェンジだ。メリノウールのインナーやウインドブレーカーまで登場。ついさっきまでジャージの前を全開で走ってたのに。
やっとサミットに到着。想定通り22:00ちょうど。Twispまで下ってMazamaに向かうだけ。冬用装備なのにグローブだけ指切りグローブのままだったので(油断してた)、下りで指が千切れるかと思った。Loup Loup Passを越えると世界が変わる。トンネルを抜けると雪国だった!みたいな峠とかトンネルがあるが、そういう類の峠だ。
Twispのガソリンスタンドで一旦止まって休憩していると二人組がやってきた。一人は夏用レーパンのままだったので、さすがアメリカンは寒さに強いんだなぁと関心した。
「寒くないの?」
「寒いに決まってるだろ!」
やっぱり寒いらしい。3日目は暑いと思って冬用装備をドロップバッグに入れておくと死ぬパターン。
TwispからオーバーナイトコントロールがあるMazamaまでは35kmぐらいなのだが、ゆるーく登っているのでなんかいまいちペースが上がらないし、真っ暗で景色も楽しめないので、残り距離が減っていくのだけが心の支えであった。
Mazama到着は1:00頃。先に到着していた吉岡さんが食事中だった。毎晩オーバーナイトコントロールで人権のある温かい食事が提供されているので本当にありがたい。これがなかったら……?というのは想像したくない。3日目もかなり疲弊していたので、ドクターペッパーとかグビグビ飲んでた。
また、このオーバーナイトコントロールはロッジを借り切っていたので、仮眠を取る環境としても非常に快適だった。自分は二階のベッド二つの四人部屋が割り当てられた。到着しているのは自分だけだったので部屋のシャワーで人権を回復し、後から来た人の邪魔にならないよう、ベッドの一番端で寝ることにした。
とりあえず5:30のクローズと同時に出発するぐらいでいいかな……というつもりで就寝。
2018 Cascade 1200 Day 2 : Terrible thunderstorm!
スタッフにトントンと肩を叩かれて起きたのは6:00である。寝坊だ。やってしまった。体育館にはもう誰も寝てる人はいない。慌てて寝袋を片付け、慌てて朝食を取り、慌てて出発の準備をする。5:00には起きて6:00前には出発しているはずだったのに。というか、起こしてくれてありがとうとしか言い様がない。
準備をして外へ出ると、もうほとんどの人が出発している。残っている自転車はDNFした人とか、ギリギリでStevensonに到着した人のものだろうか。ちょうど姫井さんも準備をしているところだった。昨晩は道に迷ったりして大変だったらしい。結局スタートしたのは6:30なので、オーバーナイトコントロールのクローズ時間である。貯金ゼロからのスタートだ。
2日目のルートは以下の通り。
まずColumbia River沿いに東へ向かう。そして川沿いを離れて、荒野というのか、なんといえばいいのか、西部劇に出てきそうなエリアへ。アップダウンの連続があったり、渓谷を下って登り返したり、地平線に向かって走ったりと大陸の雄大さを感じる景色が続く。Hanford Siteの近くを通り、北上を続けてQuincyの町へ。名のある大きな峠はないものの、1000m近くまで登っているということもあり、なかなかにタフなルートである。また、1日目とは打って変って一気に暑くなるようだ。暑さは事前に聞いていたことなので、この日からハイドレーションパックを背負った。この日、自分のGarminでは40度まで気温が上がっていた。
景色が一変
慌てて飛び出したものの、Columbia River沿いは大きなアップダウンも信号もないので、アベレージの速度はどんどん上がり、すぐに貯金ができる。川沿いを離れる頃には特に時間に追われることもないぐらい貯金ができていたはず。気持ちに余裕があった。写真を撮っていないが、Columbia Riverの対岸に見えてた大きな山はMount Hoodというらしい。
川沿いを離れると一気に景色が変わる。すでに暑いのだが、さらに暑くなること間違いなしの空模様。
途中のKlickitatというところで先に出発していったたけさんが何かの店の前で休憩していた。
ダイナミックな景色。伝わるだろうか。ただ、このあたりからどんどん気温が上がってきていて、今日は大変だな……という気持ちになっていた。とにかく日陰がない。少しでも日陰があればまだマシだと思うが、直射日光に晒され続けるのはなかなかキツい。
立派な山。あとで「2日目の昼ぐらいに北上してるときに左手に見えた立派なのがMount Rainierか?」って尋ねると、たぶんそれは違うとのこと。Mount Adamsだろうか。
90km地点ぐらいで最初の登りを登り切って、あとは次のGoldendaleまで平坦なのかなと思ったが甘かった。RWGを拡大すればわかるが、小さいアップダウンが続いている。平坦なんてほとんどない。アップダウンアップダウンアップダウン……うぅ……
Goldendaleのコントロールに到着。吉岡さんがいた。たけさんも少しして到着。自分はもう暑くてヘロヘロ。お腹が減っていたので大きいサンドウィッチと菓子パンみたいなのを買ってくると、隣りにいた参加者が「お前そんなに食うのか。どんだけ腹が減っているんだ」とか言ってきた。アメリカ人からしても食いすぎらしい。サンドウィッチ一つで満腹になったので、パンは背中に突っ込んで、水を満タンまで補充して再スタート。吉岡さんもたけさんも先に出発してた。
Noと言える力
米国の方々、追い越しや止まっている人をパスする際に「How’s it going?」とか「Are you OK?」と声をかけるので、まぁ何も考えずに「Thank you!」とか「Fine!」と返すのだが。
「Are you OK〜?」
「No!!!!!」
「え、Noなの(笑)」
Goldendaleを出発してちょっと行ったことろで、自分もみなさんに倣って止まっている人に「Are you OK?」と声をかけて通り過ぎると、後方から「No!!!!!」っていう返事が聞こえたので引き返した。Noと言える力、大事だと思う。メカトラだったのだが、残念ながら自分の手持ちの工具では力になれなかった。先に行かせていただく。
「すまんかったな。わざわざ止まってくれてありがとう」と一言。紳士だ。
雄大な景色
そういう出来事があった後の130km地点からの渓谷を下って登ってがこの日一番感動した景色かもしれない。
まるでツール・ド・フランスの山岳ステージのようだった。
ちょっと下って登り返すだけと思っていたが、このまま1000m近くまで登るので実は結構大変。予習不足だった。暑さで水はどんどん減るし、エネルギー補充用のジェルもどんどん消費されていく。特に水がヤバくてほぼ底をつく寸前。この登りの途中にスタッフによる水のサポートがあって本当に助かった。当初はなんでこんなところに水だけのサポートが?と思っていたが、確かに必要なサポートだ。冷たい水、めっっっっっっっちゃうまい。ハイドレーションパック、ボトルともに氷を入れて水を満タンにしてもらった。
しばらく登りが続くが、登り切ってしまえば次のBickletonは近い。またアップダウンの連続なんですが。
Bickletonのコントロールではたけさんや吉岡さんが休憩中。普段、日本のブルベではアイスなんて食べないが、さすがに暑くて耐えられないのでアイスクリームを注文。体内から冷やしたい。
またまた地平線に向かって走れ!みたいな景色が続く。山というか大きな丘というか、そういうものを越えると、眼下に緑の町並みが広がる。Mabton、Sunnysideといった町がある平野部だ。そしてさらにその先に見える山というか大きな丘を越えねばならない。マジか……暑いし眠いしでもうクタクタなんですが……
Mabtonへ下り切ったところにガソリンスタンドがある。吸い込まれたランドヌール多数。もちろん自分も。そして後続のみなさんも。ここでも身体を冷やすために冷たいものをグビッと。
暑くてバタンキュー
Mabton、Sunnysideの町を抜け、もう一度山というか大きな丘というか、そういうものを越えるわけだが、時間も18時を過ぎて眠くなってくる。暑さにやられていることもあって、とにかく日陰、日陰……という状況になり、途中で見つけた日陰に吸い込まれる。自転車を倒してそのままバタンキュー。10分ぐらい仰向けに寝転がる。といってもただの道路の脇だが。
走行再開して登り始めると、たけさんも道路脇に座り込んで休憩していた。
そして2日目もナイトライドへ。
やって来ましたHanford Site(のゲート)。長崎に落とされた原爆に使われているプルトニウムは、ここで精製されたものらしい。今でも核汚染の問題が残っている地域とのこと。
すっかり日は暮れ、到着したのがVernitaのサポート。Bickletonで寝てた人、また寝てる……
悲しみの落車
Vernitaを出発し、暗闇の農場地帯を走って到着したのがMattawaのコントロール。
こちらがCascade 1200で一番悲しかったシーンである。
22時を過ぎているので街中の店ではなく、ガソリンスタンドの前でスタッフがコントロールを開設しているのだが、すっかり忘れていてコントロールはもう少し先だと思い、ガソリンスタンドを通り過ぎようとしてしまった。
「おーい!コントロール!」
と突然呼び止められ、あーそうかと思って急に右にハンドルを切ったところ、下が砂利だったので、そのままズズズと滑って落車。悲しい。
最初に気になるのはおにゅうのCascade 1200ジャージが破れてないかどうか、右側に倒れたのでリアディレイラーが大丈夫かどうか、身体の心配は一番最後。幸いいずれもダメージはなさそうなので、走行続行に支障はなさそう。こんなところで落車DNFとか笑えんので、本当に運がよかった。
最大の危機・サンダーストーム
Mattawaのコントロールを出ると、Quincyのオーバーナイトコントロールまで60km程度なのだが、最後のこの区間が2日目で一番疲弊した区間だと思う。
Mattawaを出発して快調に走っていたのだが、最後の登りが終わる数km手前で急に風が強くなり、遠くでは稲妻がピカピカと光り出す。風はどんどん強くなり、道路の右端を走っているとそのまま道路外まで押し出されそうになる。車が通ることもないので、頑張って道路の左端まで行き、ジリジリと右に押し戻されつつ、また左端まで戻って、風に押されて右へ……みたいなことを繰り返す。Google Mapsで見ればわかるが、周りに何もないところなので風の影響をもろに受けてしまう。真夜中にスマホ圏外の何もないところでサンダーストームに遭うと「これは遭難なのでは……」ってドキドキが止まらなくなる。
こういうところで風が吹き荒れるとマジどうにもならない。
後日、SIRのFacebookグループに投稿されていたが、新聞記事になるぐらいのサンダーストームで、時速50〜60マイルの突風を伴うものだったらしい。自分は登りがあと少しで終わるところだったので、下り始めてからはあまり影響を受けなかったけれど、自分より後ろのグループはこのサンダーストームでDNFした人が何人かいたらしい。本当に遭難したのではないかと思うぐらいの状況だったので、無事走り抜けられたことに感謝。
Quincyまで緩い登りになっているのが恨めしかったが、最後の一踏んばりでやっとこさQuincy High Schoolに到着。時刻は3:50であった。ささっと食事を済ませ、シャワーを浴びてさっさと寝ることにする。Quincyのクローズは8:04なので、6:30ぐらいまで寝てクローズの少し前ぐらいに出発するか……と思って就寝。
大変な一日だった。
2018 Cascade 1200 Day 1 : Welcome to Seattle!
当日である。ライダーミーティングが終わって部屋に戻ったものの、時差ボケもあってなかなか眠れず、2〜3時間うとうとしただけで目が覚めてしまった。そして部屋の外を見てみると雨が降っている。Seattleは雨が多い街だとは聞いていたが、なにもスタート前に降らなくても。ただ、天気予報と雨雲レーダーを確認すると、スタートする頃には止む可能性が高い。レインウェアを着込むほどのものではなさそう。今降っている雨がスタートまでに止みますように……と祈る。頼む!
スタートまで時間があるので、薄暗い部屋の中で写真を撮り始めたりする。時間を持て余している。
白い粉キメていくぜ!ちなみに、白い粉の効用に”improves mental acuity”とあったのでたぶんヤバいやつだと思う。
ジャージはきれいなブルー。Randonneurs USAのキャップはSusanさんから日本人参加者へのプレゼント。ありがとうございます。
荷物をまとめた。出発準備OK。
1日目はCascade 1200ジャージとRUSAキャップで走る。
4時頃にフロントに出ると、参加者のみなさんが準備を始めていた。
自転車はいつもと変わりなし。装備もいつもと同じ。いつもと同じというのが大事。
まだ少し雨が降っているが仕方ない。ドロップバッグ、飛行機輪行用ケースを預け、スタート地点へ向かう。*1
スタートへ
やってきました。Space Needleです。
ぞろぞろと他の参加者も集まってくる。ブリーフィングは前日に済んでいるので、スタート地点のサインをもらい、スタート時刻を待つだけ。スタートの雰囲気は日本の普段のブルベと変わらない。ウェーブスタートのようなものはなく、60人が一斉にスタートするようだ。まだ雨が降っているが、幸先が良いと思うことにする。止まない雨はないのだ。
さて、1日目のコースは以下の通り。
Seattle市内を抜け、カントリーサイドを南下。最初のサミットはSkate Creek Roadの159km地点。Mount Rainierの麓を通る道路だ。下ってしばらく平坦を進んだ後、258km地点のElk Passに向かう。Elk Passから下ると次は310kmのOldman Passへ。そして357kmのStevenson High Schoolのオーバーナイトコントロールまで下る。Google Mapsで信号がほとんどないというのは確認済みなので、かなり緩めに見積っても20時間ぐらいあれば十分だろう。不安はあるが、走り出してしまえばなんとかなるものである。なんとかなるという精神で普段のブルベも走っているのだから、たぶんなんとかなるのである。
ほぼ5時定刻。一斉にスタートする。Seattle市内はまだ交通量はほとんどなく、参加者は道一杯に広がって走る。日本だとダメだと思うが、こういうものなのだろうか。車もクラクションを鳴らさずに大きく膨れて集団をパスしていく。
※いつもは面倒臭いのでやらないけど、今回は写真を撮ってないところは動画から切り出した画像を使う。
SAFECO FIELDやBOEINGなど、Seattleといえばという場所がルート沿いにある。まだほとんどバラけず、日本からの参加者のみなさんも近くにいる。近くの人と喋りながら集団についていく。
そういえば走り始めてすぐに気がついたことだが、スプロケのトップギアが磨り減っているのか、全然ギアが使えない状態になっていた。直前にチェーンを新品にしたときにスプロケはそのままでいいやと思って交換しなかったが、やっぱり摩耗していたらしい。10000km以上もチェーンを交換せずに伸び伸びの状態で使っていたので、そりゃむべなるかなというものだ。
Interurban Avenue Streetという広い道路を快調に南下し、Green River Trailに入る。サイクリングロードみたいなもの。集団のまま最初のコントロールであるKentに到着。
スタッフの方が順にサインをしていくので、サインちょーだい待ちである。ここまで大集団で来ていたが、このコントロールである程度バラけた。少しずつ前後の参加者との間隔が広がり、いつの間にかいつものように一人旅へ。
最初に乗っかっていたトレインがそこそこ速かったので、あー最初から張り切りすぎてしまったと後悔していた頃である。自分のペースが大事と反省しきり。いくつか街を抜ける際にマクドナルドのようなお店を見かけたが、特に食糧が足りていないわけでもないのでスルーしていく。
Thomasさん
90km地点でガソリンスタンド併設のお店が見えてきた。他の参加者も立ち寄っているみたい。全然休憩することなく走ってきたし、そろそろお腹も空いてくるので一度休憩を入れる。
ここで会ったのがTennesseeから来たというThomasさん。アジア系のアメリカ人っぽい。少し会話を交わして先に出発しかけたが、「やっぱり一緒に行こう。集団で行った方が楽しい。ブルベには楽しさが重要だ」と言って引き返してきた。断る理由もないので一緒に走り始める。自転車の話などなど、普段のブルベと変わらない世間話をしながら走る。
ちなみに90km地点で休憩した際にSwarmでチェックインしようとしたら携帯電話の圏外であった。まだ都市に近いところでこれなのだから、今後もほとんど圏外だろう。Swarmでチェックインできなくてつまらないが、いちいち圏外かどうかを確認するのが面倒くさい。チェックインすることが目的ではないし。
Alder Lakeという湖らしい。Mount Rainierの文字も出てくる。しかし残念ながら曇り空。そして雨がポツポツと降り出している。
Elbeの雑貨屋で休憩。レインウェアを着るべきか迷ったが、今ぐらいの雨ならまだ大丈夫と判断してそのまま続行。Thomasさんはタンデムの二人と一緒に行こうと画策している。集団で行った方が楽しいという信念に忠実だ。ただ、対向の自転車乗りや歩行者にまで「Hey! Come ooooonnn!!!」と声をかけるのはどうかと思った。
Welcome to Seattle!
Mount Rainier National Parkのエリアへ。いかんせん天気が悪い。たまたま近くにいたタンデムのIanさんとSierraさんに「Mount Rainierはどれ?今日は見えないの?」と聞いたら、「雨降ってて見えるわけないだろう。これがSeattleだ。Welcome to Seattle!」という答えが返ってきた。1日目のハイライトはMount Rainierを拝むことだったのだが。残念。
Thomasさんは「Pee time!」と言って立ちションし始めた。いいのか。結局自分もした。
Skate Creek Roadのサミットは峠というほど大変なものではなく、そういった看板もないので何事もない内に通過。一気に下ってPackwoodのコントロールへ。雨はすっかり止んだ。眠い。
アメリカっぽいの食ってるな。これ一個で満腹になったはず。お店の方にサインをもらう。
Thomasさんは相変わらず誰か一緒に行く人はいないかと見渡し、見つけたのがCaliforniaのHectorさん。RUSAのSRジャージを着ている。二人はどうもGold Rush Randonneeで一緒だったことがあるらしい。しばらくは平坦だが、向かい風が強くなってきていたので、Hectorさんの「ロゥティ!!」の掛け声でローテしていく。
平坦区間が終わって少し登ったところにあるのがCispusのコントロール。吉岡さんと入れ替わりだった。ただの河原にバンで乗り付けてテーブルや椅子を置いただけのシンプルな運営だが、食べるものや水を用意してくれいていたのでありがたい。
リカンベントをシングル化しようとしていたクレイジーな方がいた。結局DNFになったようだ。
極悪非道な行い
1日目のチマコッピであるElk Passに向けて登り始める。ThomasさんもHectorさんもあまり登りは速くないので、ペースを合わせて走っていると寝る時間があんまり確保できないんじゃないかという不安や危機感が出てくる。登りでのお馴染みのトーク、「お前のギアはいくつだ?」とか、「何歳なの?」というこれまたありがちなトークをし、「ハハ、若いってのはいいな!」というコメントをいただきながら登っていく。前の方々も吸収しつつ走っていると、ThomasさんがHectorさんを置いて一人でするすると前に行ってしまった。
ここで悪い自分が出てきて、「このままThomasさんもパスして行ってしまおう。寝る時間が大事だ」と囁く。せっかく一緒に行こうと誘ってくれたんだしと思いながらも、悪い自分の誘惑に負け、遊びと見せかけてThomasさんをパスしてそのままアタック。斜度もそんなにきつくないところだったので、後ろを振り返らずにペースを上げていく。二人を見捨ててしまった。さようなら、Thomasさん、Hectorさん。ありがとう。極悪非道な行いだ。
Elk Passの登りが終わる少し手前で吉岡さんも発見。
19時を過ぎてもまだ明るい。サミットには何かしらの看板があるだろうと期待していたが、特に何もなかった。味気ない。
Northwoodsまで30km近く下る。ここで厄介なのが眠気である。夕方は時差ボケで眠くなる時間帯なのだが、ガードレールがない下りなので油断するとあの世行きになってしまう。適宜写真を撮るための停車を入れ、安全に安全に下る。といっても、半分寝ているような状況であるが……。全行程でここが一番眠くてやばかった。
下りの途中に見えたのはMount St. Helensのはず。すばらしい。
着いたのはNorthwoodsのEagle Cliff Storeというお店。20時以降は近くでSIRのスタッフが食糧や水を用意してサポートするとのこと。幸い20時を過ぎても店が開いていたので、店で買い物。店の前にオーバーオールを着た恰幅のいいお姉ちゃんがいたのだが(ギャハハと笑いながら大ジョッキで牛乳飲んでそうな感じ)、あまりのテンションの高さにすっかり怯んでしまい、端っこの方に自転車を停めて休憩。
ピューマの恐怖
再スタートしようとする頃にはすっかり日も傾いた。ナイトライドへ突入となるのだが、一人で出発したのが大失敗。他の人が出発するのを待てばよかった。国立公園内の森の中なので、街灯はないし車が通ることもほとんどない。明かりは自分の前照灯だけの暗闇の世界である。
ピューマがサイクリング中の男性襲う、1人死亡 米ワシントン州 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ここで頭を過るのが、5月にカスケード山脈でサイクリストがピューマに襲われて亡くなった事件。正直、ピューマやグリズリーが出てもおかしくないし、遭遇したら負けは確定だろう。とにかく少し前に出発していった方々に追い付かなくては……!!という一心で黙々と登っていく。
Oldman Passのサミットに到達する2kmぐらい手前だったか、やっと前方に数台のリアライトが見えたので、さらにペースアップして合流。なんとか獣には遭わずに済んだ。本当によかった。
あとはオーバーナイトコントロールまで下るだけ。長い長い下り。そしてColumbia River沿いに出て、Stevensonの町へ。やっと終わったと思ったら最後の最後に結構な斜度の登りがあってうんざりした。日付が変わった0:30頃に到着。ほぼ予定通りという感じだろうか。
オーバーナイトコントロールでは夕食にタコスの提供があった。ありがたい。
タコスを食べ、先に到着していたたけさんとしばらく喋り、シャワーを浴びて、体育館のようなところに敷かれたエアマットレスに寝袋というスタイルで1:30ぐらいに就寝。Stevensonのオーバーナイトコントロールのクローズ時刻は6:30なので、5:00ぐらいには起きて少し余裕を持って出発するかな……などと翌日のことを考えながら眠りについた。
2018 Cascade 1200 : 受付・車検・ライダーミーティング
22日、時差ボケのせいで中途半端な時間に目覚めてしまう。テレビをつけてCNBCでニュースを見ていた。OPECの協調減産が緩和されるだとか、サウジアラビアで女性の自動車運転が解禁されるだとか、仕事に直接関係のあることがホットトピックとして報道されていた。特にOPECの話題については、現地に繋いで念入りに伝えられていた。
あと、NBC SportsでRoyal Ascotが生中継されていた。日本では見れないから羨ましい。Alpha CentauriがCoronation Stakesを勝った。*1
また近場をうろうろ
朝飯。食べ終わってから思い出したように写真を撮るのをやめろ!
朝早いし部屋にいてもやることがないので、近所を散歩する。
で、12:00からの受付と車検の前に自転車のチェックも兼ねて走ってこようと思い、一旦ホテルへ戻って準備。このときに姫井さん夫妻と初めて会った(ように記憶している)。
Fremont Troll
ホテルから真っ直ぐ北へ向かうとFremontという地域があり、Fremont Trollという大きな像がある。シアトルに留学していたことがある会社の同僚から聞いていたので、せっかくだし見にいってみるかと思い、ルートを確認して出発。右側走行、慣れないですねぇ。
Fremont Bridgeのところ。
橋を渡るとファンキーなやつらがいた。なんだこれ?
そしてAurora Bridgeの下の急な坂をエイヤッと登るとFremont Trollがいる。今回の目的はこれだけなので満足。治安を改善するためにこういったパブリックアートが設置されたのだそうだ。
受付が始まるので帰る。ちなみにFremontにはAdobe SeattleやGoogle Seattleのオフィスがあるらしい。シアトルにはMicrosoftやAmazonの本社もあるし、街全体が先進的というかなんというか、そんな印象。帰る途中、数台の自転車と一緒になったが、本当に自転車に乗っている人が多い。
受付・車検
Susanさん(受付左側の人)と初対面。いきなり日本語で話しかけてきたので驚いた。かつて日本で働いていたこともあって日本語はかなりわかるそうだ。また、平野さんとも受付のタイミングで初めてお会いした。会ってすぐに「あぁこの人は関西出身だ」と確信した。姫井さんはバンクーバー経由でポートランドに滞在してからシアトルへ来たそうだが、Air Canadaのロストバゲージで一番肝心の自転車が手元にない。SusanさんがFacebookで地元のサイクリストに声をかけてくれた結果、サイズが合う自転車を貸してくれる方がいて、その自転車の準備をされていた。ヘルメットやシューズなどは地元のRaphaなどで購入。サイコンはRaphaで貸してもらったとか。借り物の自転車で1200kmに挑むなんて、なかなかあることではない。大変だ。
車検はプロの自転車屋さんが入念にチェックしてくれる。必要な装備が付いているかどうかだけではなく、ここの締めが緩いだとかそういうチェックをされた方もいた。そしてSPOTデバイスが装着された。参加者の位置をGPSでトラッキングするためのデバイスである。それなりに大きいし、トップチューブに付けられたので邪魔ではあるが、一度電源を入れると四日間は動き続ける優れ物だ。
ブルベカードと最終のキューシート。ブルベカードの左側にDay 1のプロフィールが載っている。見開きにすると4ページになるが、それぞれのページにDay 1からDay 4までのプロフィールが載っていてとても重宝した。キューシートはマイル表示とキロメートル表示の両方があり、自分はキロメートル表示の部分だけを表示するように折り畳んだ。競馬ファンなので1マイルは約1600m(1.6km)とすぐにピンと来るが、慣れていないと変換が難しいかも。
受付と車検を終え、16:00からのライダーミーティングまで時間があったので、吉岡さんと昼飯にしましょうと近くのマクドナルドへ。ベタすぎるが一回ぐらいはまぁ。
そういえば今回のブツ。ジャージとTシャツ。そしてHammer Nutritionのジェルやパウダーなど。Hammer NutritionはSusanさんの呼び掛けに応じて、ジェルやパウダーを提供してくださったそうだ。最初に配られた分だけでなく、オーバーナイトコントロールでも自由に持っていっていいようになっていたのでありがたかった。特にジェルに助けられた。本当に文字通り助けられた。
またまたAmazon Goへ出向く。ホテルで朝食が出るわけではないので、スタート前に食べる物を調達しておく。
ライダーミーティング
頭のおかしい人はどこにでもいます。もちろんリカンベントの人もいた。
タンデムとかリカンベントとかおかしな自転車の人がいるけど、前述の通り、ロストバゲージの結果、借り物の自転車で走ることになった姫井さんがおかしな自転車選手権優勝っぽい。
16:00からライダーミーティング。一通りの説明が終わった後、日本人向けにたけさんが注意点を確認する時間を取ってくださった。ありがたい。
自転車置き場もいっぱい。もう後は走るだけ。
十分に寝ておくべしということで、19:00頃には解散して自分の部屋に戻って就寝。まぁなかなか寝れないのだが。
*1:この記事を書いている時点でAlpha Centauriは次走のFalmouth Stakesも勝利。Irish One Thousand GuineasからG1を三連勝である。
2018 Cascade 1200 : シアトルへ
出発の前日である20日まで仕事でバタバタしていたが、なんとか片付けた。
成田へ
6月21日、いよいよシアトルへ出発である。搭乗予定の便は21日18:15に成田発のANAの直行便。シアトル到着は現地時間21日11:25の予定。日付変更線を越えるので長い長い6月21日になる。
12時前に自宅を出て、元住吉駅から武蔵小杉駅へ。武蔵小杉駅からは在来線の快速でもいいのだが、自転車を担いでいるので移動ではなるべく労力を使わないようにしたい。成田エクスプレスで一気にワープ。
また、武蔵小杉駅でSeattle International RandonneursのFacebookのグループに「出発します!」という写真を投稿しておいた。
随分と余裕を持って空港に到着。出発まで4時間近くあるので自転車をさっさと預けてしまおう。GWに福岡に行く際には中身を丁寧に確認されたが、今回はそういったこともなく、大型手荷物検査場へ持っていって探知機に通すだけだった。拍子抜け。
自転車を預けて身軽になったのでその辺をうろうろする。
ハンバーガーなんて向こうでも食べるだろと思いながらもマクドナルドへ。
あ、そういえばと思ってドルを準備する。オーバーナイトコントロールでは食事が用意されているので、何か支払いをするのは前後の観光のときとコントロールぐらいなのだが、シアトル市内はいいとしても、コントロールでクレジットカードが使えるのかどうかわからない。どれだけ現金で持っていればいいのか判断できないので、とりあえず20000円分をドルに替えておいた。*1
あんまりダラダラしていても仕方がないので、セキュリティを通過して搭乗ゲートの近くで時間を潰すことにする。58番ゲートはかなり遠く、一度ゲート付近まで行ってしまうと、ちょっとお店をうろついたりしようかな〜などという気にはならない。幸い電源もあるのでスマホをいじりながら時間を潰す。隣にいた留学生風の女子が完全に家のベッド気分で寛いでいた。そこまでするなよ。
そうこうしていると、日本からの参加者である平野さんが呼び出されるアナウンスが何度も流れていて笑った。実際にお会いしたことはないけれど、エントリーリストで名前を確認しているので存じ上げている。また、日本人参加者向けには、主催者のSusanさんが参加者の川野さん(たけさん)に協力を依頼してFacebookのグループを作成し、情報を適宜アップデートしてくれた。なので、Facebook上では繋がりがあり、平野さんがFacebookにアップロードした写真からも同じ便なのだということがわかった。
機内ではぼんやりツールドフランスの映像を見た後はずっと寝ていた。食事は二食。飲み物はと聞かれるたびにアルコールを飲んでいたので、いい気分になった。
シアトルに到着
ほぼ定刻通りの11:30頃にシアトル・タコマ国際空港(Sea-Tac Airport)に到着。機内で他の乗客が下りるのを待っている間にiPhoneのSIMをZIP SIMに入れ替えた。すぐに通信ができるようになり、しばらくするとSMSで電話番号が設定されたとメッセージが来た。今回は通話、SMS、データ通信が使えるもので、容量は1GBのものを購入しておいた。1GBで足りるか不安はあったが、シアトル市内は野良Wi-Fiでなんとかなるだろうから、まず一日でどれぐらい使うか様子を見る。
入国審査は長い列になっていて結構時間がかかった。自分より少し前の方にたけさんが並んでいた。同じ便だったようだ。もう一日前にシアトル入りしている吉岡さんのような方もいるが、平野さんも同じ便だし、やはりこの便が便利。
入国審査を済ませ、無事に自転車をピックアップ。
Sea-Tacはターミナル間の移動が鉄道になっているので、メインのターミナルへ移動しないといけない。自転車を担いでの移動なので大変。
空港を出てシアトル市内へ向かう。いくつか手段はあるようだが、自分は安いLink Light Railで移動することにした。これで市内まで行き、ホテルの近くまでは路線バスで移動するのだ。東京でも路線バスに乗らないのに果たして見知らぬ街のバスに乗るなんて大丈夫だろうか?と思ったが、Google Mapsで乗り替えを検索するとどの路線に乗ればいいかまで示してくれるのでなんとかなるだろう。
この旅ではなんとかなるだろう精神を存分に発揮していきたい。
駅は極めてシンプルな作り。切符の決済にクレジットカードが使える。SeaTac/Airport StationからPioneer Square Stationまで運賃は3ドル。40分ぐらいで着く。
車内には自転車を置くことができるスペースがある。輪行袋に入れずそのまま持ち込むことも可能らしい。「このスペースは早い者勝ちね!」という注意書きがあった。
シアトル市内が近づく。SAFECO FIELDの横を通過。
Link Light Railの一部は地下を走るバスとの共用になっているらしい。
地上に出て、近くのバス停からDowntown行きのバスへ乗車。ここで初めて現金を使った。運賃は前払いだが、現金支払いのみでお釣りは出ない仕様らしい。本当かと思ったが、これは日本でも同じことだな。運賃は2.5ドル。紙幣しか持っていないし両替もできないということなので、3ドルを払うことになった。自転車はそのまま持ち込み可。
しばらくして宿に最寄りのバス停に到着。
宿はHoliday Inn Seattle Downtownというホテル。14:00頃に到着した。翌22日に受付や車検、ライダーミーティングがこのホテルで行われるので、余計な移動を省くために素直にここに宿泊することにした。グループレートが適用されているとはいえ高いので懐には痛い*2。
近場を散策
部屋を準備できるのが15:00からだというので、自転車だけ預けて付近の散策に出る。まずはSpace Needleへ行ってみる。今年のCascade 1200のスタート地点になっている場所だ。
近くにあったセブンイレブンで食糧を調達して、Space Needleの麓で腹ごしらえ。アメリカサイズなのででかい。これだけで腹いっぱいになってしまう。
平日なのに賑やか。
一旦ホテルへ戻ってチェックイン。自転車を組み立てるのは後にして、バックパックを置いてもう一度市内の散策へ。
シアトル市内は自転車のレーンが明確に整備されていて走りやすそうだった。また、サイクリストがとても多い。日本でいうママチャリのようなものはなく、ロードバイクがほとんど。
シアトルのAmazonのビルの横にある人間をダメにするソファでダメになった人々。人間をダメにするソファの効力は洋の東西を問わない。
Pike Place Marketというのが有名らしいので、そちらへ行ってみる。ここにStarbucksの一号店がある。
せっかくなので並ぶ。完全にただの観光客である。
店内は狭い。しかし、やはり一号店。観光客でごった返していて完全に観光スポットだ。アジア系多し。
シェアバイクもあるようだ。これだけでなく他にも数社がサービスを展開している模様。利用している人も多く、市民に定着しているようだった。
こういうデカいバスが走るの、なんかいいよね。
Amazon Go
そしてここ。ホテルでAmazon GoのアプリをDLして、店に突入する準備を整えていたので、いざ突入。シアトルに来たからには一度は体験しないといけない。
本当に決済をせずに店を出た。実にスムーズ。
しばらくするとスマホに購入した一覧の明細と店内での滞在時間が通知された。請求は米Amazonのアカウント宛て。スマホをかざしてゲートから入り、商品をバッグに入れ(自分のバッグにそのまま入れてもいい)、ゲートを出てくるだけ。店内に張り巡らされたセンサーで人の動きと商品の動きを検出しているらしく、相当に設備費がかかっていると思うが、これは普及するととても便利。自動化によってスタッフが減っているかというと、結局案内する人が常駐しているので、全体的な人件費の削減には繋がっていないように見えるが、客としての体験は本当にストレスがない。日本でも普及してほしい。
夕食と翌日の朝食を調達したのでホテルに戻る。
バイクを置いておく部屋にはまだ数台。スペースが空いている内に組み立ててしまう。最後にポンプでせっせと空気を入れていると、コロラドから来たという方がフロアポンプを貸してくれた。なんでそんなもん持っているんだ。とにかく自転車は組み上がった。輪行で特にダメージを受けたこともなさそう。
部屋に戻って夕食を食べ、そのまま寝てしまった(はず)。日本時間の21日からシアトルへ移動し、やっと21日が終わった。長い長い6月21日だった。
2018 Cascade 1200 : Prologue
Cascade 1200から帰ってきて二週間が経った。そろそろ書いておかないと記憶が薄れていってしまう。
世界のM脇トークショー
2018 Cascade 1200 – June 23 – 26, 2018
そもそも今年、Cascade 1200に行くことになったきっかけは、昨年の年末にイーチョさんのところで開催された世界のM脇氏のトークショーである。2019年のPBPには参加したいなと考えていたが、他の海外ブルベにも目を向けようと思ったのは、楽しそうに海外ブルベの話をするM脇さんの姿に影響されたからだ。
そうなると、どこのブルベに参加するかが問題である。これまで1200kmに縁がなかったので2018年の内に一度は走りたい。R札幌の夏の1200km、2400kmというのも選択肢にはなるが、8月の真ん中に長い休みを取るのは今の仕事ではやや厳しい(これは来年も同じことが言えるのだが……)。しかも、エントリー峠が激化しそうである。険しいエントリー峠に参戦してまでブルベを走りたいというわけでもないので、早々にR札幌の1200km、2400kmは候補から外した。
年明けにLes Randonneurs Mondiauxのサイトでカレンダーをチェックし、候補に上がったのが、6月にアメリカはシアトルで開催されるCascade 1200と10月に台湾で開催される1200kmである。この二つは時期的にも休みを取りやすく、遠征するにしても比較的行きやすい地域だ。また、PBPのように日本人が多数参加するようなものであれば、現地の言葉がわからなくてもなんとかなるかもしれないが、そのようなものはPBPやLELぐらいだろう。ある程度言葉の問題は小さいところがいい。Poor Englishではあるが仕事で英語は使っているし、英語が通じるCascade 1200は参加しやすいと思った。
さらにCascade 1200の情報が出てきた頃、マヤさんがFacebookに「Best ride ever」と書いていたのも記憶に残っていた。アメリカ大陸の雄大な景色を堪能できるのだそうだ。惹かれる。気持ちはCascade 1200へ。*1
2月初めにCascade 1200のエントリーが始まったが、外国人枠は無制限と聞いていたので焦ることなく時期を見計らい、2月半ばに会社で「6月下旬に休みを取りたい」と相談したところ、あっさりとOKが出た。いざエントリー。そのまま航空券と事前に宿泊するホテルの予約(参加者向けにグループレートが適用されていた)をした。終わってからの宿泊は後で検討ということにして、結局予約したのは5月末になってからだった。航空券はトランジットなどの余計なリスクを避けたいので、費用は高くなるがANAの直行便にした。宿の予約に関してはBooking.comなどがあるので、日本で宿を予約するのと手間は変わらない。
航空券と宿泊を押さえてしまえば一段落である。今年は九州ヘブンウィークに参加するのでGWまではそちらが優先だったし、その後もAJたまがわの海野宿400と鬼怒川600があったので、Cascade 1200の準備はそれが終わってから。とはいえ、装備自体や持ち物は九州ヘブンウィークに持っていったものとほぼ同じで問題なさそうと判断していたので、準備に時間はかからなかった。
準備したもの
国内遠征の荷物に追加するものといえば、以下のものぐらい。
- パスポート
- 当然。
- ESTA
- アメリカの入国に必要なので。
- 国際免許証
- DNFした場合、次のオーバーナイトコントロールまでは回収車で運んでくれるらしいが、その後は各自でどうにかしなければならない。過去に参加したマヤさんやチコリンさんはDNFの後レンタカーを借りてシアトルに戻ったと聞いていた。使わないに越したことはないが、一応念の為に国際免許証を申請して持っていった。
- ハイドレーションパック (Dolfin Pack)
- 変換プラグ
- 電源タップを持っていってもこれがないと使えない。
- スマホ用のSIM (ZIP SIM)
- OSM
- GARMIN eTrexでルートを表示させるつもりなのでワシントン州のOSMが必要。下記のサイトからDLした。
- Free worldwide Garmin maps from OpenStreetMap
- ウェットティッシュ
- 普段の国内ブルベでは持たないが、日本のトイレ環境の良さは異常なので、トイレ環境には期待せずに持っておいた方がよいだろうと判断。これは本当に良い判断だった。これを持っているとのいないのではQOLが三段階ぐらい違うと思う。
- 海外旅行保険
- ウェア類
- 真夏と真冬の両方の装備を持っていった。これは九州ヘブンウィークの際に話を聞いたSan Francisco RandonneursのEricさんやマヤさん、チコリンさんが口を揃えて「両方持っていくべし」とおっしゃっていたので素直に従った。先達の言葉は聞くものである。
- 補給食
走行計画
走行計画の検討はあまり念入りにはやらなかった。ルートの予習もざっくり(後悔する羽目に)。そもそも仮眠をするためのオーバーナイトコントロールが設定されており、350km、350km、250km、250kmという四日間の配分になっているので、1200kmを走るというよりは、一日で終わるブルベを四日続けて走るという感覚。徹夜で走り続けることはなさそうなので、あまり細かい戦略は必要なさそう。ドロップバッグを毎日オーバーナイトコントロールに運んでもらえるので、荷物も300kmブルベを走るぐらいのものだけで十分。
また、ルートについては、主催者のSusanさんが二週間前に試走した際には1日目のElk Passが冬期の雪による影響でクローズになっていたようだ。当日までにオープンになるかどうかわからない状況だったので、代替ルートが設定されていた。直前までどちらになるかわからずやきもきさせられたが、最終的にはElk Passもオープンになったので、当初の予定通り1日目はMount RainierやMount St. Helensという山を眺めながらの走行となるルートになった。見所の一つなので当初のルートになってよかった。
*1:マヤさんはだいたい「あのブルベは最高!」と評価するので真に受けてはいけない。